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「ベイビーファット」

“黒人のベルサーチ”とも称される「ベイビーファット」のショーには、ミッシー・エリオットらヒップホップ・アーティストが詰めかけた。

デフ・ジャム・レコードの創設者ラッセル・シモンズの妻

ベイビーファットのクリエーティブ・ディレクターのキモラ・リー・シモンズ(当時27歳)は、ヒップホップを世に送り出したデフ・ジャム・レコードの創設者ラッセル・シモンズの妻。「私のスタイルはセクシー抜きには語れない。セクシーとは強くてしたたかで自立した女性のこと」と話す。2004年は約5億ドルを売り上げた。


ショーン・コムズ(パフ・ダディ)の「ショーン・ジョン」

メンズでは、ラッパーで音楽プロデューサーでもあるショーン・コムズ(パフ・ダディ、P・ディディ)が1998年に始めた「ショーン・ジョン」が好調だった。

ブカブカのバギーパンツはもうはやらない

ショーン・ジョンの2005年秋冬のテーマは「ユーロメトロクラッシュ」。欧州と米国の都市との衝突を意味する造語だった。テーラードジャケットやポケットチーフなど伝統的な装いだった。ダメージジーンズなどストリートスタイルとを組み合わせた。

クリエーティブ・ディレクターのダオイー・チャウ(当時31歳)は「刑務所のズボンをまねたブカブカのバギーパンツはもうはやらない」と説明した。

高級アイテム並みの注目度

これ以外にも、ラップ風の服装は様々だった。毛皮やダイヤモンドといった高級アイテムと組み合わせ、ニューヨーク・コレクションで大いに注目を集めた。

関連動画

ヒップホップのファッションを、年代別に紹介。「1980年代」「1990年代」「2000年代」「2010年代」。



1990年代のヒップホップファッションのランキング(トップ10)




ラップブランドがストリートを変える

ヒップホップのエッセンスを取り込んだブランドの動きは、ストリートの風景も変え始めた。2000年代の事例は以下の通り。

人物服装・スタイル・コメント
ハーレムの目抜き通りにいたクラブプロモーター三つ編みヘアに、ジャケットとスリムなジーンズでこぎれいにまとめていた。キャップの値札をつけたままにしておいた。それが、新品の証拠でおしゃれだという。
黒人に人気のクラブに来ていた学生
(当時21歳)
過激なコルセット・ファッション。セクシー路線。
ダンサー
(当時21歳)
シースルーのシャツに黒のブラジャー、体の曲線がくっきりと出る細身のジーンズにグッチのベルトた。高級ブランドもさりげなく取り入れた。
ヒップホップ系イベントのプロモーター
(当時30歳)
明るい色のジャケットや革靴と組み合わせるのがおしゃれ。ファッションを見ている限り、かつてのストリートの心意気は息を潜めてしまったようだ。